人は変わる
人は変わる
毎月1度、愛の家(野宿者支援集会)で奉仕をして5年が過ぎました。昨年11月のことです。礼拝と食事の後、帰る方に挨拶をして見送っていると、一人の男性が話しかけてきました。
「先生、俺な、新約聖書を全部書いたんや。去年のクリスマスに始めて、もうすぐ終わる。全部できたら三角公園で燃やそうと思てんねんけど、そんでええかな?」
驚きました。首をぶんぶん横に振り、「あかんあかん、燃やしたら! ぜひ持って来て見せて」と言いますと、男性は嬉しそうに、ほな来月、と帰って行かれました。
約束通り翌12月、聖書を書き写したノート全18冊を持って来られたのです。几帳面に書かれていました。約1年で完成ですから、ひと月に1冊以上のペース。ほぼ毎日書かれたのでしょう。
この男性、Mさんになぜこんなすごいことを始めようと思ったか聞いてみました。彼は著名なH牧師の遠い親戚で、あるとき道でばったり再会したのだそうです。そしてH先生の就任式にも出席したと、写真を見せてくれました。そういえば、お顔が似ています。そして彼はその時、「俺はこの人の靴の紐を解く値打もない」と思ったのがきっかけだそうです。
「靴の紐を解く値打もない」と言ったのはバプテスマのヨハネで、彼は後に来られる方こそ本物のキリストだと言ったのであり、人間に対して使うのはちょっとズレているのですが……。
それにしても、人はほんの少しのきっかけで変わるのだ、大きなパワーを持っているのだとMさんは気付かせてくれました。
追記:なんとMさんは先日、「ひと月で福音書全部書いた!」と言って新たな写経ならぬ"写聖"ノートを持って来てくれました。奇跡は継続中です。
「だから、キリストと結ばれる人はだれでも、新しく創造された者なのです。古いものは過ぎ去り、新しいものが生じた」(Ⅱコリント5:17)
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