子どもたちの声なき声
子どもたちの声なき声
幼児虐待、ネグレクト(育児放棄)による悲しい事件が後を絶ちません。子どもに手を挙げ、養育せず放置する親もまた、その親から同じような目に遭ってきたケースが非常に多いのです。
幼児期にありのままで受け入れられ、愛され、大切にされないと、人は自分を肯定することができません。失敗や挫折は人生にはつきものですが、それでも大丈夫だと思うことができません。ほんの少し自分の子どもの成長が遅いだけで、ダメな親の烙印を押されたように思い追いつめられていくのです。
保育所や幼稚園、また学校がそのような過酷な環境にある子どもたちのセーフティーネットになっていると聞きます。家ではろくに食事を与えられない子どもが、愛情や関心を注がれない子どもが、少なくともそこでは栄養を摂り、安心することができます。
しかし驚くべきことに現在、日本に所在不明の子どもが少なくとも1600名はいるということです。これは乳幼児の定期検診を受けなかったり、住民票があるのに小学校に通っていなかったりする子どもたちのことです。
その背景には、養育者からの虐待、ネグレクト、また親がDVを受けて加害者から身を隠すために住民票を移動できないなどの問題があります。
私たちのすぐ隣に、声をあげらない子どもがいるかもしれないのです。存在を消され、未来を奪われた子どもたちが、すぐそこにいるかもしれません。同時にそこには、貧困や暴力や、言うに言われぬ事情のために悩み苦しみ、助けを求める方法すらわからない親(または養育者)たちがいるのです。
子どものいのちと権利を守れない国が先進国と言えるでしょうか。貧困や暴力に怯える家族を保護しない政府はどこへ向かっていくのでしょうか。為政者にまことの知恵が与えられることを祈ります。
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