『永遠のゼロ』
『永遠のゼロ』
昨年12月映画化され、主演の岡田准一の丸坊主姿などで話題を呼んだ『永遠のゼロ』の原作を読みました。
物語は太平洋戦争中に零戦搭乗員となり、終戦直前に特攻隊として命を落とした祖父について、二人の孫が彼を知る戦友に会って話を聞く中でたどっていくというフィクションです。実話ではないものの、大変綿密な取材をもとにして書かれたものであることは明らかです。
特に心に残ったことは、あの戦争でいのちを落としていった兵士たちは、ごくごく普通の人間だったということです。なんだ平凡だと思われるかもしれません。しかし、「天皇陛下のために」「お国のために」といって戦ったあの時代は狂っていたという平和な時代の回顧から、特に機体ごと突っ込んでいく特攻隊員などはなかば洗脳され、天皇陛下のために死を讃美し喜んで死んでいったという評価がなされてきたのではないでしょうか。私もそういう時代だったのだと思っていました。
しかし、そうではなかった。本当は死にたくない。特攻隊として志願するかと言われて、喜んで志願したものは誰もいない。そうせざるを得なかったし、家族への手紙に「死にたくない」などとは決して書けなかった、という元兵士の訴えを読み、涙が止まりませんでした。あの戦争で何千、何万という若者が死んでいったけれど、一人一人に人生があり、悲しみがあり苦しみがあったことを改めて実感しました。
同時に、北朝鮮で暮らす人々のことを思いました。彼らは本気で金正恩(金正日、金日成)が、”天のようなありがたいお父様”だと信じて讃美しているのでしょうか。少なくともこの10年ぐらいの間には一般市民もかなりの情報を得ています。言いたいけれど言えない。たくさんのことを押し殺して、彼らはじっと耐えているのではないでしょうか。
戦争の愚かさ、人間の醜さについて改めて考えました。そしてこのようなことを決してゆるしてはいけないと、ごく普通の人間である一人一人が固く心に誓い行動することが求められているのです。南北の平和統一と、苦しんでいる北の人々のためにも祈り続けましょう。
(筆者追記)
この本のタイトル、また宣伝の映像を見たとき、何か違和感があるにはあったのですが、はっきりとはわかりませんでした。あらかじめ作者について調べておけばよかったのですが、著者の主張はまったく賛同しかねるものでした。無知のなすゆえです。お詫びをかねて、3月2日に続編を書いています。しかし、このようなこともあるのだということで、恥を忍んでそのまま掲載しておきます。ぜひ、続編もお読みくださいませ。(2014.12月)
「平和を実現する人々は、幸いである、/その人たちは神の子と呼ばれる」(マタイ5:9)
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真理は変わらない、平和を求める心は誰もうばいとることが出来ないとおもいます